好きだった
路地や商店街

住み慣れた場所
馴染みの店を

離れるのは
やはり寂しく

そのひとつが
車でやってくる

移動式のパン屋さん

以前の場所は
金曜の午後

小銭の入った
財布を持って

週末のパンを買うのが
楽しみで





もうお別れと
思っていたら

引っ越し先の部屋に
聞こえてきた

あのメロディ！
第三の男 

もしやと思い
表に出ると

あの車が停車中

回ってくる曜日も
担当の方も
違うそうだが

見慣れたパンが並ぶ
なんていう幸せ

またよろしくお願いしますと
ごあいさつ





引っ越し後の
そわそわとした
不安の中にも

こうやって
ひとつひとつ

小さな楽しみ
発見があり

“ 暮らすまち ” に
なっていく。